Flying Saucerで展開するすべての商品は、
実際に使ってみて、「良い」と実感できたものに限ります。
Flying Saucerの代表でもある清水さんに、
いろいろな調理機器について、
本当の使い方と、選び方のコツをたっぷりお聞きしました。
「ホントにいいんですよコレ!」が口癖の清水さんの言葉には、
毎回驚かされることばかり。
編集スタッフでもある「わたし」が定期的にお話をおうかがいしていきます。
記念すべき最初の道具は「IHフライパン」についてです。
001
IHフライパン悪いのはIHじゃない。
道具なんだ。
- 清水
- タワーマンションとかだと、
今はほぼIHになっているじゃないですか。
ところがね、引っ越ししてIHになった途端に、
「炒め物ができなくなった」とか「火力が足りない」とか
言うんですよ。
あなたのお家は、IH? - わたし
- はい。最近IHにしました。
- 清水
- 炒飯とかうまくできない、なんてことありませんか?
…でしょう、それはね、料理の仕方が、そもそもガスと違うんですよ。

- 清水
- 実は熱量は、ガスよりもIHのほうがパワーはあるんです。
火力はガスよりも数段上。
とろ火のほうも、ガスのほたる火よりもまだ低い。 - わたし
- もっと低い?
- 清水
- もっと低い。極とろ火って表現したりします。
火力が無いって言いますけど、IHの方が強火も強いし、弱火も弱い。
要するに幅は広いんです。
例えば、普通に売られているフライパンをガスで使用していて、 へこんだり歪んだりすることないんですけど、
IHの場合はハイパワーで使うと、鉄板なんかでもへこんじゃいますし、
ステンレスだと使えなくなるくらいに変形します。 - わたし
- それなのになぜ火力が弱いってイメージがあるのでしょう。
- 清水
- IH「対応」のフライパンではガスと同じようには料理ができないんです。
この「対応」がポイントです。
IHのハイパワーっていうのは、
結局湯沸ししかやっちゃいけないパワーなんです。
やかんでお水をお湯にする。早く沸かすには便利です。
ところが、普通の料理でこれをやると、
例えばフライパンは変形します。 - わたし
- でも、炒飯は強火ですよね。
- 清水
- はい、この間もお客さまが、
「IHでちゃんとした、野菜炒めとかチャーハンができない」と おっしゃっていました。
それはね、道具の選び方、料理の仕方が間違ちゃっているわけ。
IHの火力を最大限に引き出す道具を使わないと駄目。 - わたし
- IH「対応」というのは、IHで使えるっていうだけなんですか。
- 清水
- そう、使えるだけ。
厳密にいうと野菜炒めが食感の良い、シャキシャキした野菜炒めができない。
それからチャーハンもパラパラにならない。
煮物もちゃんと煮詰まらない。味が染み込んでない。
なぜならIHは底が熱くなるだけなんです。
従来の料理は、発熱した熱をフライパンの脇、鍋肌に伝えて作る。
ガスは上昇気流があるので、鉄板だろうがステンレスの板一枚だろうが、 鍋肌まで熱が伝わるわけですよね。
一般的なIH「対応」商品だと、底だけ熱くなって側面が熱くならない。
対流が起きないから、ガスと同じような調理はできないんです。

- わたし
- なるほど。IH対応フライパンを、斜めにするわけにいかないですもんね。
- 清水
- いかないですね。
オフになっちゃいますから。
だからIHの場合は側面まで熱が伝わる形状であったりとか、 専用の機能、材質が必要になります。 - わたし
- それは知りませんでした。
- 清水
- ほとんどの方が知らない。
チャーハン、なんとなくおいしくないよね。
野菜炒めおいしくないよね。だから…。 - わたし
- ガスじゃないとやっぱり駄目なんじゃないかなと。
- 清水
- そうです。だから極端なこというと、IHがいいと言われてIHにした。
でもちゃんとした料理がなんとなくできない。
だから、またガスに変えるっていうお客さまもいました。
だけど、これから年も取っていくし、
やっぱりガスよりもIHのほうが安全だし、
IHって上昇気流がないので、台所のフードや換気扇が汚れないわけですよ。
ガスは上昇気流があって、油も一緒に飛んじゃうから換気扇が汚れる。 - わたし
- IHが悪いってことでも無い訳ですね。
- 清水
- はい。それは多分IHレンジを売るほうもよくわかってない、 だからお客さまに、最適な道具を提案できていないのでしょう。
- わたし
- IHにしたら料理の仕方も変えないといけないということでしょうか。
- 清水
- いや、そんなに変えなくてもいいと思いますけどね。
ただ、道具をちゃんと選ばないといけない。
上昇気流がないという話をしましたが、
調理中に水分が減らないんですよ。
だからガスと同じように調理すると、味を仕上げようと思って、 調味料をどんどん入れるわけですよ。
だから調味料の量が減るのが早いってお客さん多いですね。
結局、中の水分が減らないじゃないですか。
煮詰まらないわけですよ。だから味が薄い。 - わたし
- だからそのパリッとしないで、しなっとするような感じになっちゃう。
蒸した感じのように。 - 清水
- そうそう。しなっとしちゃう。
だから、どんどん調味料を足していくわけですよ。
醤油とか砂糖とかみりんとか、そうじゃないと味がまとまらない。
だからIHになってから料理がまずいっていうお客さん、ほとんどですよ。
ガスと同じようにやったら。
ガスは煮詰まっていくのでちょうど凝縮するわけですよね。
濃度が濃くなるわけです。
IHは水分が飛ばないんで、濃度は濃くならないわけですよ。
だから水分は逆に抑えとかなきゃいけないんです。最初から。
でもね、特性を知っていれば、
野菜炒めもおいしいし、チャーハンもちゃんとパリッとしたものができますよ。 - わたし
- どうしたらよいのでしょう?
- 清水
- IHの特性、道具をちゃんとしたものを選ぶっていうことですよ。
ちょっと比べてみますか。
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